北上夜曲
1 マラソンランナー
2 やまない雨はない
3 シャボン玉(作詞 さゆき)
4 バクが夢を食べるのは(作詞 大谷よしみ)
5 君がいて僕がいる
6 一枚の布
7 あなたが笑顔で
8 北上夜曲(詞 菊地規 曲 安藤睦夫)
9 ほほえみの春
10 サヨナラは言わない(作詞 久米小百合)
2011年 MAKOTO BOX
岩渕まこと:ヴォーカル・ギター・コーラス(M3・7)
岩渕由美子:ヴォーカル・コーラス(M1)・ハンドクラップ
西原悟:キーボード・シンセサイザー・マンドリン・パーカッション(M4・5)
コーラス(M1・2・5・7)・ハンドクラップ
市原康:ドラムス・パーカッション(M1・4・7)・コーラス(M1・3)・ハンドクラップ
谷源昌:ベース・コーラス(M1・2・3・5)・ハンドクラップ
Tony R Woods:starter(M1)
大谷よしみ:コーラス(M2・7)
プロデュース:MAKOTO BOX
ディレクション:PETRA STREET
レコーディングエンジニア:武藤 昌徳・木下“George”孝(CLOCKWISE)
ミキシングエンジニア:武藤 昌徳・木下“George”孝(CLOCKWISE)
アシスタント:樫本 大輔
レコーディングスタジオ:BS&T STUDIO
マスタリングエンジニア:安藤明
マスタリングスタジオ:キング関口台スタジオ
デザイン:荒木俊行
イラスト:石川えりこ
制作:MAKOTO BOX
発売元:ライフクリエイション(いのちのことば社)
2012年は私が日本コロムビアからデビューして35年目の年になります。35年間も歌う生活を続けてこられた事への感謝の思いでいっぱいですが、どうして続けてこられたのか、と不思議な気持ちになることもあります。
35周年を目前にした2011年に、東日本大震災が起こりました。私は埼玉の自宅にいましたが、生まれて初めて慌てて家の外に逃げ出す程の揺れを感じました。
揺れも落ち着いて家に入り、テレビのスイッチを入れた時に、あの津波の映像が飛び込んできました。
若いころにドライブをした海沿いの道、泳ぎに行った浜が次々に波に呑みみ込まれてゆきます。
その光景を観ながら、私の中の故郷が一緒に崩れていくような思いがしました。
それからの数日間は何も手につかない状態が続いていました。そんな私の心にひとつの歌が聴こえてきたのです。それが「北上夜曲」でした。
母の実家は石巻から北上川を上流に上った所にありました。小学生の私は毎年夏休みにそこで従兄弟たちと再会し、遊ぶのが楽しみでした。
子供の足で10分ほど歩くとそこに北上川が流れていました。静かな雄大な流れは私の原風景のひとつになっていたようです。
心に鳴り続ける「北上夜曲」。改めて歌詞を調べてみると、普段はあまり聴く事のない4番、5番の歌詞に出会いました。それはまるで今回の大震災を予見しているかのような内容でした。
その後被災地で歌う機会があったときに、非難していらっしゃる皆様とこの歌を歌いました。
やがて新しいアルバムを作ろうという思いが生まれ、CD「北上夜曲」が生まれました。
内容は「北上夜曲」の他に、さゆきさん、大谷よしみさん、久米小百合さん作詞による3曲と私の作詞作曲の6曲で全10曲が収録されています。
故郷との関わりにこだわって、仙台で高校時代に歌ってローカルヒットした「シャボン玉」を収録し、デザインは小学校からの友人に依頼しました。
ジャケットに使われているカモメの写真は震災前の石巻、北上川河口付近で撮影されたものです。
サウンド的には自分自身の原点に近いサウンドを録りたく、簡単な譜面からヘッドアレンジをしてゆく手法をとりました。新しいドラムとベースの音作りも成功し、これまでのぺトラストリートのサウンドからさらにグルーブ感のある音に仕上がっています。
「北上夜曲」は私にとっては初めてになる、ピアノトリオのジャズテイストで歌っています。この録音は楽器も歌も同時に録った全くのワンテイクで、これ以外の録音は存在しません。
「北上夜曲」というと全体に落ち着いたサウンドをイメージされるかも知れませんが、ロックあり、ラテンあり、と欲張りな私らしいサウンドになっています。
そして何といっても「岩渕まこと&由美子」としてMAKOTO BOXが制作した初のオリジナルのデュエットアルバムです。それぞれのボーカルが織り成す世界を楽しんでいただきながら、東北へ思いを馳せていただければと願っています。